64-ロクヨン-前編 –

横山秀夫の推理小説を原作とした話題の映画、「ロクヨン」の前編を観てきました。

7日間で幕を閉じた昭和64年に発生した少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」を
ストーリーの中心に据えながら、「刑事部と警務部」「所轄と中央」「県警と記者クラブ」
などといった組織間の対立を生々しく描き出すことで、人間関係や物語が複雑化していきます。
佐藤浩市をはじめとする、映画主役級の豪華キャストでも話題となっています。

警察組織内の複雑な政治関係、人間関係というと「踊る大捜査線」が思い起こされますが、
青島や室井さんに希望が託された「踊る」とは違って、
「ロクヨン」では、あまり夢も希望もない、「残酷な現実」として描かれています。

その「残酷な現実」の中で常に板挟みになって苦悩するのが、
佐藤浩市さん演じる、県警広報官の三上。
「ロクヨン」の追尾班として事件に関わり、
そこを端に発した様々な問題や対立に対峙することになります。

警察組織ほどではないと思うのですが、会社勤めをしていると、
政治や力関係で思うように動けないケースは多いと思います。
そんな三上への共感から、ストーリーにのめり込んでいってしまいました。

個人的には、記者クラブ幹事社キャップの秋川を演じる瑛太さんがかなり気になりました。
これまで比較的、「いいやつ」寄りの役柄が多かったように思います。
今回は三上と対立する、少しいけ好かない役なのですが、
これがまた、「うわ、やなやつだな」と思わせる、強い印象を残していました。

かなり重い話ではあるのですが、人物関係やそれぞれの背後関係をていねいに描いているため、
まったく長さを感じませんでした。
後編に向けて、いよいよ平成の世に発生した「ロクヨン」の模倣事件が発生します。
こちらも公開されたら、ぜひ観に行こうと思っています。

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