進化するグーグル

「検索」を中心に、GmailやYouTubeなど、幅広いサービスを提供しているGoogle。
もう少し概観的にGoogleの戦略を理解したいと思ってこの本を読み始めました。

著者はMacやGoogle関係の記事を多数書かれている、ITジャーナリストの林信行氏。
「Googleは世界中の情報を整理することを使命としている」という基本を軸に、
実際のGoogleのサービスを例に出して、Googleの理念や向かっている方向が
解説されているため、全体的にとても読みやすいです。
特にソーシャルネットワーク(mixiなど)のオープン化や
GoogleDocsなどのクラウドサービスに関する説明は具体例も豊富で、
前提知識がない人にとっても、理解しやすいと思います。

他の同様の本でも語られている内容が多く、
知っている人には物足りない面もあるかもしれません。
ただ、本書ではサービスの解説だけでなく
「なぜ、そのサービスをGoogleが提供しているのか」の考察が加えられており、
読み進む中で、「Googleが目指している世界」について、
自分の中ですっきり整理することができたように思います。
Googleと、Yahoo! JAPANやMicrosoftとの企業文化の違いや
Googleとiモードの関係性など、なるほど!と思える考え方もいろいろとあり、
最後まで興味深く読み進めることができました。

20%ルールや充実した福利厚生など
Googleの企業文化を、形だけつまみ食いのように真似をした
Web系の企業やサービスの話をよく聞くのですが、
なかなか成功した事例を聞かないのは、
本書に描かれたGoogleのように筋の通った理念を持たない起業家が
多いためなのではないかと個人的に思っています。

全体的にGoogle寄りな論調で論じられているため、
やや偏っていると思えるふしもありますが、
Googleのサービスが広く受け入れられ、そして今後何を目指しているのか
総論的に理解できる一冊だと思います。

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進化するグーグル (青春新書INTELLIGENCE)
林 信行
青春出版社
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