ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

なんか、シャレにならないタイトルになっているんですが、映画の話です。
これも昨年末に観たので、ちょっと前の話になります。

「ブラック会社に~」は、2chのスレッドが元になっている話で、
そこから、書籍化、映画化と広がっていった作品です。
それだけ聞くと、「電車男」に近い印象を受けますが、
こちらは純愛要素はまったくのゼロ。

ストーリーとしては、サービス残業、徹夜業務が当たり前の
システム開発の現場を、ユーモアと皮肉を込めて描いたもの。
「ブラック会社」で巻き起こされるどたばたの中で、
「何で自分は働いているんだっけ」ということを、改めて考えさせられます。

品川祐さん演じる、強い人に弱く、弱い人に強い、責任感皆無の「リーダー」など、
登場人物みんながみんな、クセのあるキャラクターなのですが、
なんとなく、「あー、こーゆー人いそう」と思えてしまうから不思議です。
そんな濃いキャラクターが集まっているにもかかわらず、
お互いを食い合わずに、作品として完全に引き立てあっている、というのは、
「キサラギ」の時もそうでしたが、佐藤祐市監督のすごいところだと思います。

1晩徹夜したくらいでアホほど遅れていたスケジュールが取り戻せるんだっけ、とか、
そもそもマ男くんひとりで、どうやって単体テストやっていたんだ?、とか、
(藤田さんがPCLをチェックしているような描写もありましたが…)
そもそもマ男が小池徹平って、ジュノンボーイにもほどがあるだろ、とか、
そんなつっこみは野暮ってものでしょう。きっと。

個人的には共感できるところもあり、また考えさせられる部分も多く、
期待していた以上に、楽しむことができました。
ただ、映画なので大げさに表現されている部分もありますが、
多かれ少なかれシステム屋の業界はこんな感じですからねぇ。
そんなわけで、同業者としては、素直には笑えない感じもするのです。

  * * * * *

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない (新潮文庫)
黒井 勇人
新潮社
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原作となっている書籍がこちら。
もともとが2ちゃんねるのスレッドということもあり、
まとめサイトなど、ネットで読むよりもちょっと読みにくいのが残念です。