僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話

本書は電通の元エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターが、
若手の社員に伝えた言葉をまとめた内容です。
仕事や人生で直面するであろうことに、体験談を交えた適切なアドバイスが述べられており、
大変共感できる内容となっています。
広告代理店の若手社員に向けた内容ではあるのです、広告業界に関わる人だけでなく、
多くのビジネスマンにとって何かしら得られるものがあるかと思います。

仕事はどうしても、「やりたいこと」ではなく「やらねばならぬこと」と
考えてしまうことが多いのではないでしょうか?
どうしてもネガティブになりがちな「仕事」をいかにして楽しむか、ということが
本書では前向きに語られています。
その語り口は大変優しく、内容はとてもシンプルであり、
今からでもすぐに実践できそうに思えるばかりです。

また、多くの人が仕事で悩みに感じているのは人間関係についても、
多くのアドバイスが述べられています。

[仕事というのは足し算ではつまらない。掛け算にならないとおもしろくない。
人と人が会うことは、思わぬ掛け算が生まれること。
話がダイナミックに進み、お互いの新しい能力を発見しあい、新しい可能性が広がること。]

この言葉が、大変印象に残りました。

携帯電話やメールなどの通信機器・技術の発達により、
アナログ時代に比べて便利でスピーディーに進められるようになって、
極論すると、人と会わないでも仕事が進められるようになっています。
しかし、筆者は時代がどんなに便利になっても、
人と会うことが重要であると述べています。
人と会うことで、思いもよらないアイディアが生まれ、
自分一人では成し遂げられなかったことができるようになるというのがその理由です。

自ら「落ちこぼれ」と称し、おそらくは想像を絶するような苦労を
積み重ねてきたであろう著者だからこそ、その言葉に重みがあり、
それは素直に受け入れられるものになっているのだと思います。
仕事にポジティブになれないと感じている人にこぞ、ぜひ一度読んで欲しい一冊です。

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僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話
本田 亮
大和書房
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