オープンソースのOSとして、サーバーサイドはもちろん、個人用途でも広く使われる
Linux(リナックス)の開発者として有名なリーナス・トーバルズ氏の自伝です。
原題は「Just For Fun」。「それがぼくには楽しかったから」という邦題はすばらしいです。
リーナス氏が語っている内容をそのまま文章化されているような形式のため、
一般的な自伝よりも読みやすいと思います。
とはいえ、リーナス氏の視点と、友人であるデイビット氏の視点が
交互に出てくるというちょっと変わった構成のため、最初は少し戸惑いました。
また、特に2章ではLinusの開発エピソードが紹介されており、
技術用語やハッカー的な言い回しが数多く登場しますので、
馴染みのない人には若干読みにくいかもしれません
リーナス氏が趣味として作ってきたLinusが、
世界中の有志の手によって、発展し、拡大していくさまが
淡々と、そしてたまに冗談交じりに語られてる内容については心震えるものがあります。
これまで、「オープンソース」の概念については、
個人的にいまいち腹落ちがしにくかった考え方だったのですが、
Linuxの発展と成功を多くのエピソードとともに読み進めていくことで、
目指しているところがかなり理解できたように感じました。
Linusやプログラムの詳細について解説された書籍ではありませんので、
技術論を求める方には不向きかと思います。
Linuxの開発、コミュニティ、家族や友人との時間など
リーナス氏の「Just For Fun」と考えることを通して、
成功するための「生き様」がなんとなくではありますが、感じ取れます。
技術用語についても、かなりていねいに解説がされていますので、
それほど詳しくない人でも良い進めることが出来ることができます。
むしろ、リーダー論や物事の見方など、技術者ではなく、
ビジネスに携わる人に多くの示唆を与えてくれる一冊だと思います。
* * * * *
小学館プロダクション
売り上げランキング: 181,911
* * * * *
HarperBusiness
売り上げランキング: 28,588
こちらは原書の方。余裕ができたら読んでみたい。