64-ロクヨン-後編 –

横山秀夫の推理小説を原作とした映画「ロクヨン」の後編。
以前観に行った前編がおもしろかったので、後編を楽しみにしていました。
実は公開されてすぐ観に行きましたので、少し前の事になりますが
せっかくなのでレビューを残しておこうと思います。

「前編」のラストで発生した、16年前の誘拐事件”ロクヨン”の模倣事件が、
「後編」のキーとなります。
しかし、”ロクヨン”事件についての詳細は公にされていないことも多いため、
内部関係者の犯行か、または警察の自作自演か、という疑惑の中で、物語が動き始めます。

人間模様を重厚に描いた「前編」とはやや趣が異なり、
「後編」は、新たな誘拐事件を通して、サスペンスとしてのスピード感があります。
ただ、やはり今回も軸となるのは警察やマスコミなどの人間関係。
警察だけでなくマスコミにも中央と地方の対立や、
16年前に大きく分岐してしまった現在における人間関係や思惑などが顕在化することで、
さらに複雑化し、物語として重厚感を増しています。
しかし、こうした人間関係も丹念に描いていることで、とてもすんなりと入り込めます。
前回少し書いた、瑛太さん演じる記者クラブキャップの秋川が、
なぜあんなにオラついているのか、ということも、なるほどなー、という感じでした。

ストーリーとしてはそれほど奇をてらった結末ではないと思いますが、
ありとあらゆる伏線がきれいに回収されるのは、見ていて本当に気持ちがいいです。
事件の謎、人間関係、そして映画主役クラスの役者さんのぶつかり合いなど、
大変見ごたえのある映画でした。

* * * * *

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