佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和氏といえば、広告業界では名を知らない人がいないほどの超有名アートディレクター。
彼の名前を聞いたことがないという人でも、彼がデザインした「ユニクロ」や「極生」のロゴについては
目にしたことがあると思います。

「アートディレクター」や「デザイナー」というと、おもしろいアイディアを出す人というイメージがあり、
「整理術」とはあまり縁がないように思っていました。

しかし、著者はこの本の中で「アートディレクター=ドクター」と例えています。
アイディア一発で突飛なことをするわけではなく、
“クライアントの課題を問診”し、
“情報に、ある視点を持ち込んで並べ替え”、
“問題解決のために、クリアすべき課題を設定する”というプロセス”を踏んで、
“相手の問題を解決する”のが役割であると言います。

つまり、自分の作品を作り上げるのではなく、
クライアントの伝えたいことを効果的な形にすることがアートディレクターとしての役割であり、
その過程には「整理」が必須になると述べているのです。

本書では、「空間」の整理術から始まり、
「情報」そして「思考」に応用させていく方法が解説されています。
「情報」や「思考」は、概念的でイメージしにくいようにも思うのですが、
最も視覚的で理解しやすい「空間」をまず解説することで、無理なく理解することができます。

「課題を解決する」ことはアートディレクターだけでなく、
多くのビジネスマンが直面していることと思います。
事例も多く文体も平易なためたいへん読みやすく、
また読後に、「思考を整理する」ための新たな視点を得られる一冊だと感じました。

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佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)
佐藤 可士和
日本経済新聞出版社
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